フェムゾーンの痛みで受診するとき、多くの方が不安に感じるのが診察です。「いきなり内診されるのでは」「診察が痛そう」「性交痛があるのに診察に耐えられるか心配」と感じる方も少なくありません。
MPPS、つまり筋筋膜性骨盤痛症候群が疑われる場合、診察で大切なのは、痛みを無理に我慢させることではありません。どこが、いつ、どのように痛むのかを一緒に整理し、痛みの背景に筋肉や姿勢、排尿・排便、性機能などが関わっていないか確認していくことです。
まず重要なのは問診です。痛みの場所、持続時間、いつ痛いのかを確認します。腟の入口が痛いのか、奥が痛いのか、外陰部がヒリヒリするのか、下腹部や肛門まわりが重いのか。痛みの表現は人によって違うため、医学用語でうまく説明できなくても大丈夫です。「刺すような痛み」「焼ける感じ」「重い」「つっぱる」「奥に当たると痛い」など、感じている言葉のまま伝えてください。
排尿や排便の症状も大切です。膀胱炎だと思って受診したのに尿検査で問題ないといわれた、膀胱炎ではないのに頻尿がある、尿意切迫感がある、排尿後にすっきりしない、便秘がある、排便時に力みやすい、排便後に痛みが出る。このような症状は、骨盤底筋の緊張と関係していることがあります。
性交との関係も確認します。挿入時に痛いのか、奥に当たると痛いのか、性交後に痛みが残るのか、どの姿勢で悪化しやすいのか。言いにくい内容ですが、治療方針を考えるうえで重要な情報です。
また、長時間座っていると悪化するか、運動で悪化するか、楽になる姿勢があるか、月経周期との関係があるかも確認します。過去の感染症、骨盤や股関節の外傷、腹腔鏡手術、婦人科手術、出産、会陰切開などの既往も手がかりになります。
診察では、外陰部の皮膚や粘膜の状態を確認します。炎症、かぶれ、萎縮、感染、傷などがないかを見るためです。必要に応じて腟鏡を使い、腟萎縮や感染の有無を確認することもあります。ただし、痛みが強い場合は小さい器具を使う、途中で止める、別日にするなどの工夫ができます。
MPPSの評価では、トリガーポイントの触診を行うことがあります。指一本で腟の壁や骨盤底筋の各部位にやさしく圧をかけ、いつもの痛みが再現されるかを確認します。検査後に一時的に痛みが増すこともあるため、無理をしないことが大切です。
さらに、体表や体幹の評価が必要になることもあります。腹部、股関節、腰部、臀部、大腿の視診や触診、姿勢、歩行、股関節の可動域、筋力、呼吸パターンを確認することで、痛みの背景が見えてくることがあります。
MPPSの所見は、症状と一対一で対応しないことも多いです。そのため、必要に応じて骨盤底リハビリに詳しい施設や理学療法士と連携しながら評価することもあります。大切なのは、「痛みを我慢して診察を受ける」ことではなく、「痛みを理解するために、少しずつ確認していく」ことです。